中国には中国銀行、建設銀行、農業銀行など様々な種類の銀行があり、街中や大学周辺には数多くの支店銀行がある。外国人が中国の銀行を利用する場合、外貨の両替、日本からの送金の受け取り、銀行口座の利用など。
中国では中国人の外貨の両替に制限があるため、銀行周辺では外貨の闇取引が頻繁に行われている。
中国在住者は、給与振り込み用に払われる給料の通貨にあわせた外貨口座と、生活費を預金しておく人民元の普通預金口座のふたつを、外貨取り扱い銀行である中国銀行に持っていることが多い。また、人民元、外貨口座ともに普通預金口座のほか定期預金口座も開設できる。
ちなみに、中国人民銀行は中華人民共和国の中央銀行であり、市中銀行である中国銀行とは名称が紛らわしいが別銀行である。
口座開設の方法
◆人民元口座
現地の中国系銀行で人民元口座を開設するときには身分証明書(パスポートが望ましい)の原本(銀行によってはコピー持参)提出が求められる以外は、特に持参を要するものはない。中国での銀行普通預金口座の最低預け入れ金額は1元。キャッシュカ ードも作れるが申込時には身分証明書が必要となる。
◆外貨口座
中国の銀行で外貨口座をつくるには、居留証、パスポートなどの身分証明書が必要。銀行普通預金口座の最低預け入れ金額は20人民元に相当する外貨。
銀行キャッシュカード
中国全土のATMで使用可能なキャッシュカ-ドの暗証番号は6桁。このカ-ドが無ければ帰国後日本の中国銀行での出金は出来ない。万一キャッシュカ-ドを紛失した場合、非常に面倒な手続きが必要となる。
外貨の両替
中国で外国通貨から人民元への両替は、中国銀行の各支店、空港内にある各銀行の出張所、香港などとの国境検問所の中にある銀行、ホテルのフロント、外国人客の多いデパート(友誼商店)などでできる。また銀行によっては大手支店で取り扱いのあるところもある。日本円をはじめ、香港ドル、米ドル など世界各国の通貨との交換が可能で、中国国内どこの銀行やホテルなどで両替しても基本的にレートは一律となっている。中国でもトラベラーズチェック(T/C)からの両替もできるが、銀行によっては取り扱わないこともある。T/Cからの両替の際はパスポートを持参すること。また通常、現金のレートは T/C のレートより若干低く設定されている。
外貨口座から引き出し時に両替する
中国在住外国人への給与支払いの多くは外貨建てで行われている。給与振り込み用に 「外貨建て預金口座」を作る場合がほとんどだが、生活費などを銀行口座から人民元の現金で引き出す方法がよく行われる。中国でのレートは銀行引き出し時の外貨対人民元の比率で計算される。この方法による預金引き出しや、両替には手数料はかからない。
中国四大国有商業銀行
中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行の4行が、中国4大銀行と言われており、1994年の金融改革で外貨取引専門銀行や、農村部融資専門銀行といったそれまでの専業銀行体制から、商業性を備えた国有商業銀行へと生まれ変わった。これら中国4大銀行だけで中国全体の総資産の8割を占める。
中国主要銀行の総資産ランキング(2001年)
1.中国工商銀行
2.中国銀行
3.中国建設銀行
4.中国農業銀行
5.中国交通銀行
6.中信実業銀行
7.中国招商銀行
8.広東発展銀行
9.上海浦東発展銀行
10.中国民生銀行
中国主要銀行の純利益ランキング(2001年)
1.中国銀行
2.広東発展銀行
3.中国工商銀行
4.中国建設銀行
5.中国交通銀行
6.中国招商銀行
7.中信実業銀行
8.中国農業銀行
9.上海浦東発展銀行
10.中国民生銀行
中国系銀行の膨大な不良債権
これまで、中国4大国有商業銀行は、党幹部からの口利きなどにより、赤字の国有企業にもかかわらず、湯水のごとく妄信的に無理な融資を繰り返してきた。その結果、中国の銀行の不良債権はふくらみ、総資産に占める比率が20~30%と大きな不良債権を抱えてしまうことになった。
中国国有銀行の民営化
2002年8月に中国銀行傘下の中銀香港が香港市場に上場。中国政府は今後も不良債権処理を加速させ、経営状態のいい銀行から順次上場、民営化させていく予定である。これにより、中国の銀行は政府からの理不尽な干渉もなくなり、経営も健全化され、自己責任の意識も高まることが期待される。
外資との競争
中国の銀行が外資との競争に敗れ破綻を招くといった状況を回避するためにも、なんとしても銀行の体力強化、不良債権処理、経営の抜本的改革は避けては通れない道となっている。それだけに中国政府も非常に強力に銀行の不良債権処理をはじめとした金融改革を進めた。こうした流れの中、政府は2003年12月に中国銀行と中国建設銀行に対して総額450億ドルの資本注入を行った。銀行の不良債権処理への政府の並々ならぬ態度をうかがい知ることの出来る。