戒台とは、僧侶が説法を受ける壇台のこと。戒壇ともいう。戒台寺には、“天下第一壇”と称えられる中国最大の戒壇がある。1070年(遼代の咸雍6年)に造られた。杭州の昭慶寺、泉州の開元寺にある戒台と併せて中国三大戒台と称されている。また、戒台寺は、仏門最高戒律の菩薩戒を伝授する中国仏教の最高学府でもあった。
明清の時代に修築が繰り返され、寺内にある建物のほとんどが清代に建てられたもの。主な建築物に天王殿、大雄宝殿などがある。寺院内を北上していくと数軒の四合院が見えてくる。清代以来、この辺りではライラックや牡丹の栽培が盛んに行なわれ、特に黒牡丹などの珍種を栽培していた所は牡丹院と呼ばれ有名。この牡丹院は、北京の伝統的建築である四合院と江南地方の庭園様式を見事に融合させた建物だ。
戒台寺は、樹齢数百年の松が多くあることでも名高い。殿前の高台には、南北に臥龍松、九龍松、抱塔松、自在松、活動松が並んでおり、“戒台五松”として有名だ。また、これに龍鳳松、鳳尾松、鳳眼松、菊花松、蓮花松を加えて“十大奇松”ともいう。寺内の至るところに松や柏の木があり、これらの木に吹くそよ風の音が心地良い。
また、戒台寺には、遼代以来の文物が数多くしかも完全な状態で保存されている。なかでも遼代の仏塔、石経幢、元代の経幢式墓塔、明代の三世銅像、清代の石獅子などは非常に稀少価値の高いものだ。