京劇は清帝国の首都・北京で生まれ発展した舞台芸術である。これまでの200年間で1000以上の演目が演じられた。「三国志」や「水滸伝」「西遊記」など中国の歴史に題材をとったものが多い。雄大なスケールを持つ長大な物語の一場面に焦点を当てて上演。
現代中国でも梅蘭芳、程硯秋、馬連良、周信芳、杜近芳ら多数の優れた京劇芸術家が輩出した。中国戯曲学院は多くの優れた京劇俳優を育成し、中国京劇院には多くの名優がいる。これらの俳優たちは先人の成果を受け継ぎ、またに個性を生かした自らのスタイルを形成した。

文化大革命期には伝統演目は批判にさらされ禁止され、多くの名優が迫害された。しかし、文革の発端となったのも京劇（海瑞罷官）だった。また文革中上演を許された8つの芝居はすべて京劇であった。それほど京劇の存在感は大きい。しかし、文革で多数の名優が迫害死したことは、京劇にとって大きな打撃となった。
その後、開放政策が進み、西洋の音楽や映画などの流入、娯楽芸術の多様化などで、京劇を含めた地方劇は全体として沈滞気味。伝統芸術をどう残していくのかが大きな課題となっている。
一般的に京劇の歌詞や文句は日本の歌舞伎同様、セリフや歌詞が難しく、普通の人が理解するのはやや難しいとされる。