ハニートラップとは、女性を使って情報を得るという古典的なスパイ活動である
が、中国では日常的に行われているスパイ活動である。
2004年5月6日、上海の日本領事館で事務官が自殺したが、遺書には「一生あの中
国人達に国を売って苦しまされることを考えると、こういう形しかありませんで
した」「日本を売らないかぎり出国できそうもない」と、中国側からの工作の存
在が原因である内容が記されており、事件が報道されると共に重大な政治、外交
問題に発展した。
事件の概要は、自殺した職員が上海のナイトクラブの女性と親しくなったことを
ネタに、中国側から脅され、情報提供を迫られたというものである。
当時、在中国の日本側外交筋は中国側を厳しく追及し、裏で謝罪をとった上、関
係者を処分させている。この時、上海公安部上層幹部の何人かが、左遷や辞任さ
せられた。
このハニートラップは、情報活動を片手間にやっている公安部の管理下にあった
ものである。
日本と同様、中国でも風俗営業は警察の監督下にあるが、中国の場合はもっと極
端で、公安部にコネがなければナイトクラブやカラオケスナック等の開業ができ
ない。そのため、上海の風俗店の多くは、公安部のOBや親族といった公安部関係
者が経営している。
これらの店で働く若い女性は、基本的に客からのチップ収入と愛人契約で暮らし
ているが、稀に智に長けた者は、ベッドの中で客から聞き出した企業情報を公安
部に通報する。
情報を得た公安部は、情報提供を契約している中国企業や上級機関に報告し、女
性達と報奨金を山分けにする。
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