中国共産党中央軍事委員会の直接的な傘下にある、中国人民解放軍総参
謀部は、構成の中に情報担当部局を含み、ここを軸に民間シンクタンク
の形で要員を抱えて情報収集活動にあたっている。
人民解放軍総参謀部の情報活動の特徴は、民間のベールを被って行われることが
多いことである。これは、軍人の身分では情報を集めにくいという理由の他に、
人民解放軍創設以来の特徴として、自力更生というテーゼがあり、海外でも独自
の事業、投資活動を展開していることが理由でもある。
彼らは日本にもしばしば民間の交流代表や経済視察団といった名目で訪れており
、自衛隊幹部や専門家、政治家との接触を図っている。また、投資環境や条件の
分析も行なっており、現実に日本企業の買収にまで至ったケースもある。
また、日本の大手自動車部品メーカーから、中国人が軍事転用可能なデータを大
量に盗み出した事件も、社員になりすました中国人民解放軍関係のスパイである
と言われる。
在外公館の武官がスパイ行為摘発で身動きがとりにくくなった現状の下、人民解
放軍総参謀部の情報活動は今後いっそう民間の顔をした形で繰り広げられていく
と考えられる。