灰を原料とした釉薬をかけた、淡青色、または淡緑色の焼き物。
中国の青磁は神品とよばれた焼き物。気品に満ちた汝官窯の青磁、幽邃な南宋官窯の青磁、そして温雅な龍泉窯青磁は最高の到達点といわれる。
漢時代から宗時代に青磁の中心となった浙江省紹興周辺の窯、越州窯が唐時代随一の名窯とされ、後期には技術向上と作風の洗練によって青磁は晩唐の詩人たちに絶賛された。しかし青磁の完成度が頂点に達するのは次の宋時代になってからのこと。
この時代は中国陶磁の黄金時代とされ、まず耀州窯が青磁窯として頭角を現す。北宋の汝窯や南宋の南宋官窯は宮廷の御用品を焼く青磁窯として設置された。
それら青磁の色調は、時代によって透明な濃い緑色から失透調の淡い青緑色にわたりバラエティーに富んでいるのが特徴。
南宋で最大規模の焼造量を誇ったのが龍泉窯。龍泉窯の製品は日本やペルシア、インド、エジプト、アフリカなど各地へ輸出され、日本では砧青磁、天龍寺青磁、七官青磁などと呼ばれる数種の龍泉窯の製品が珍重されている。
青磁の中で最も貴重とされるのは北宋の汝官窯の青磁。現存が確認されているものはわずか数十点。
そのため、ほとんどが市場に出回る事はなく、公開オークションで小皿が一枚一億円以上で取り引きされたこともある。
また、大変珍しい南宋官窯の青磁は存世の数も大変少なく、優秀な南宋官窯の代表作品をオークションに出品した場合、何億円の値が付くか判らない。